冷たい部屋の中で高杉はゆっくりと目を覚ました。 身体を動かすとギシリと鎖が音を立てた。 雁字搦めにされ、1ミリたりとも動く事が出来ない。 自分の身体に目をやると、鎖に繋がれて拘束されていた。 もう少し前までは、ずっと眠っていて意識すらなかったのだから、 それよりはマシなのかもしれない。 だが、問題は自分が今居る場所だ。 高杉は深く溜め息を吐いた。 眠っていて起きたら敵の本拠地だったなんて笑えない冗談だ。 だが、あきらかに見たこと無い場所。 そして地球のものではないテクノロジーが搭載された船。 窓の外の景色はひたすら闇と点々と散らばる星々。 宇宙を航行しているのは間違いない。それも自分のものではない戦艦で。 「目が覚めたか。松陽の弟子よ」 目の前に居るのは、見たくもない面をした男。 波打つ白い髪に土気色の顔色。朧だ。 彼を見て、高杉はだいたいの事態を察した。 「ようやく目覚めて最初に見た顔がテメーのツラたぁ、ついてねぇな」 こんな状況だと言うのにクツクツと愉快そうに笑いながら 高杉が吐き捨てる。不敵な笑みを向けられた朧は不愉快そうな顔をした。 「貴様の仲間も全滅しただろう。 貴様に手を貸していた夜兎の連中も恐らくそろそろ死んだ。 残るは貴様だけだ、高杉晋助。 目覚めたら全てが絶望に追いやられていた。気分はどうだ?」 「……さぁな。俺にはもう正常な感覚は残ってないんでね」 ふふっと高杉は笑い声を漏らす。 怠惰な瞳で朧を見上げ、呟くように高杉は言った。 「絶望なんざもうとっくの昔に味わった。 友の手で友の一番大切な者を壊させた。あれ以上の絶望はねぇよ」 「それはどうだろうな。絶望など、まだ沢山ある」 「……そうかい。ただ、一つ言っておく。 あいつらはそんな軟には出来てねぇよ。死骸でも見ねぇ限りは 死んだかどうかなんぞわかりはしねぇぜ。あまり、舐めてると痛い目をみる」 「この状況で強気な台詞を吐けるとはな……」 朧は呆れたような顔をした。ゆっくりと高杉との距離を詰めると、 威圧的な目でじっと高杉を見詰める。 高杉は目を逸らすこと無く、彼を見詰め返した。 「気に食わんな。その目。すこしはしおらしくしたらどうだ?」 「生憎、そんな殊勝な性格でないんでね」 「いつまで、その口がきけるのか見物だな」 朧の手が伸びてきて、高杉の胸元に触れた。 死人のような冷たく乾いた手の感触に、高杉は一瞬だけビクリとする。 手が胸の突起に触れ、ぎり、と強く抓る。 漏れそうになった声を噛み殺し、唇を引き結ぶ。 高杉を伺うように見上げながら、朧は高杉の胸を弄った。 ウジ虫が這っているよりも嫌な感触だ。 高杉はそう思ったが顔にはそれをおくびにも出さず、 唇の端を吊り上げて妖艶に笑んでみせた。 「性欲のなさそうなツラして助平ジジイみてぇな手付きしてやがる。 いいぜ、来いよ。身体を嬲られるのは慣れてる。 どれだけ、この身体を餌にしてエロ親父を誑かしてきたと思ってる?」 「フン。汚らわしい奴だ。松陽の弟子のくせに薄汚れているようだな」 「あの人の名をお前が語るんじゃねぇよ」 「……。まだ、松陽を敬愛しているのか?哀れな奴だ」 「さて、な。敬愛なんざ最初からしてねぇよ」 「どうだかな」 「ふっ……、ン」 敏感な脇腹をなぞって、朧の手が下半身へと降りてくる。 着せられていた白い着物を肌蹴させられ、裸体を晒させられた。 銀時との死闘以来ずっと眠っていた所為か、少し筋肉が削げて 以前より痩せた身体になっていた。 だが、攘夷時代よりはまだ逞しい身体をしている。 戦える。まだ、牙は折れてはいない。寧ろ、銀時と刃を交えて以来 邪念が払われていまは全てが澄んでいる。 こんな状況だと言うのに、高杉は満足して居た。 いつか、腐った奴らの首を全て落として松陽の墓前に並べる事を 思い描きながら、高杉は朧の辱めに耐えていた。 性器を扱かれて、無理やり射精させられる。 まだ濡れていない後孔に固い雄を付きたてられて後ろから貫かれた。 「うっ……アッ」 堪らず漏れた甘い声に自分で吐き気を感じながらも、 男を受け入れる事に慣れた身体は痛みや圧迫感だけでなく確実に 快楽を拾い上げ、突き上げられる度に脳が痺れるような快感が走り抜けた。 ジャラジャラと鎖が耳障りな音を立てる。首筋に朧の吐息が触れるのが気持ち悪い。 最低な状況だが最悪な状況では無い。 早く終われ。そう思いながら、高杉は犯されているのが他人事のように ずっと考えごとをしていた。 銀時の体温、匂いを思い浮かべながら朧に犯される。 意識は遠くに飛んでいて、中に精液を吐き出されても気にならなかった。 行為を終えた朧の瞳に、虚しさが揺れているのを見て胸がすいた。 ざまあみろ。無言で部屋を去っていく朧の背中にそう吐き捨てた。 万事屋の窓から見慣れた風景を眺めながら、 銀時はどこか見知らぬ世界を見ているような気持ちに襲われていた。 もう江戸は自分達の知っている江戸では無い。 将軍の首は悪辣な男の首に挿げ替えられて、真選組も消え、 もはや江戸は変わってしまった。自分達は罪人として追われる様な立場だ。 政治と国が変わろうが、空の色は変わらない。 晴れている時は澄んだ青が広がり、曇りならば鉛色。 天気によって表情を変えるけれども、それだけだ。 それが有り難いことの様な気がして、銀時は溜息を一つ零した。 高杉と戦ってからそれなりの時間が過ぎていった。 高杉が眠り続けていることを聞いた時は胸がちくりと痛んだ。 松陽の弟子だった頃の彼の魂を取り戻す為に仕方なかった。 戦ってでも、昔の彼を取り戻したかった。 そんなもの、ただの言い訳にすぎない気がしていた。 死んでしまえば、魂もクソもない。ただ、抜けがらになるだけだ。 高杉に直接的な止めをさしたのは自分ではないけど、 高杉が朧の不意打ちなんぞに後れをとるほどに彼を痛めつけたのは自分だ。 お互いさまとは言え、その事が胸を締め上げる。 もっと、他の方法はなかったのだろうか。 昔みたいに、抱締めて愛を囁けば彼の耳には届いたのだろうか。 そんな風に考えてみるが、なんど想像しても結果は変わらない。 結局、お互い拳を交えてしか解り会えない気がした。 新八と神楽には暇を出した。一人きりの部屋で いつもの定位置に座り、空を見詰め続ける。 もとより客足なんて殆どないこの家には、以前に増して客足は減った。 減った、というよりは無くなったと言ってもいい。 だが、珍しくチャイムが鳴った。 俄かに銀時は緊張する。敵集だろうか。幕府の犬か、天人か。 木刀を握り、気配と足音を殺して玄関に向かう。 「金時、居るか?ちくっと話があって寄らせて貰ったぜよ!」 気が抜けるような馬鹿でかい声に、銀時はがくっと肩を落とす。 後頭部をくしゃくしゃ掻きながら、ずかずかと大股で玄関のドアの前に立った。 「るせーな、ったく。開けるからドンドン叩くんじゃねぇよ!」 怒鳴り散らしながらドアを開けると、坂本辰馬がぬっと姿を現した。 ピーカンな笑顔を浮かべ、親しげに肩を叩いてくる。 ちょっと痛かったが、嫌じゃない。昔から変わらない男にほっとした。 上がり込んで来た辰馬は暫く下らない馬鹿話をしていた。 一時間ぐらい喋ったところで、銀時は溜息を付きながら尋ねる。 「で、何の用だよ、辰馬。何かあって来たんだろーが」 銀時の質問に、さっきまでのふざけた表情を顰め、辰馬は真面目な顔になった。 「じつはのう、鬼兵隊が襲撃にあったんじゃ」 「……ああ、知ってる」 「ほうか。まあ、高杉の仲間はワシらが回収したが、肝心の高杉が見付からん」 「……」 「情報をかき集めたら、どうも高杉は朧という男に捕まったらしいぜよ」 「朧……、あの野郎にか……」 「安心しろ、高杉はまだ生きちゅう。場所も掴んじょる。金時、助けに行くがか?」 サングラスをずらして、青い瞳で辰馬が見詰めてくる。 はあ、と盛大に溜息を付くと、銀時はすくっと立ちあがった。 「たりめーだ。さっさと連れてけ、坂本」 「おう!じゃあ、さっそく行くぜよっ!」 窓の外に宇宙船が横付けされた。ぎゅっと洞爺湖を握り締め、 ブーツに足を通すと銀時は窓から辰馬の船に乗り込んだ。 時計もない。音もない。光もない。何もない部屋。 大の字で鎖に繋がれたまま高杉はぼんやり部屋の隅を見ていた。 時折運ばれてくる食事。食べさせようと口元にお粥の入った椀を 近付けられたが、自分からは口を開かなかった。 食べなければ椀に顔を突っ込まれるが、窒息しそうになろうとも ブタの様に餌を与えられるのは御免だと高杉は頑なに口を閉じていた。 最後は開口具を嵌められて無理やり口を開かされ、 食道に冷めた粥を無理やり流し込まされて食事させられた。 食事の時間は一定では無い。体内時計が完全に狂っている高杉は、 今何時何分で、どれだけの時間が経ったのか全く解らなかった。 やってくるのは朧。それから見知らぬ男達。 誰が来ても、啼き喚きも怒りもせず、ただ不気味に笑みを浮かべる高杉に、 高杉を捕えている者たちの方が参り始めているようだった。 そんな時、仮面で顔を隠した男が部屋に入って来た。 男を見た瞬間、高杉は何故か心臓が奇妙に跳ねるのを感じた。 「やあ、晋助」 声を聞いた途端に全身に鳥肌が立った。 動揺を隠しきれない瞳で高杉は目の前に立つ男を見る。 もったいぶるようにゆっくりと男は仮面を外した。 前髪は依然と違っていたが、仮面の下の顔は間違いなく見たことのある顔。 力不足で死なせてしまった、守るべき人の顔だった。 「しょ、よう……せ」 唇から滑り落ちた名前を飲み込み、高杉は笑みを浮かべる目の前の男を見た。 まるで悪夢だ。何故、最愛の師の皮を被った悪魔が現れるのか。 彼は吉田松陽なんかじゃない。そう言い聞かせるが、動揺が収まらない。 「晋助。久しぶりだ、とでもいうべきかな」 「……てめぇ、ふざけた事ぬかすな。知らねぇな、てめぇなんざ」 「そうか。では、初めましてということにしておこう」 「……」 「相も変わらず頑固者のようだ。朧を手こずらせるなど相当なものだ」 言葉遣い、声色、表情に違いがあれども、 顔のパーツも、声音も記憶の中の松陽と重なる。 首を撥ねられた男が生きている筈がないのに。 高杉は頭をフル回転させて目の前の男の正体を明かそうと躍起になった。 だが、考えがまとまらない。 黒いマントの下から見覚えのある手が伸びてくる。 「私ならば、少しは君を参らせることができるだろうか」 冷笑を浮かべながら、冷たい手が身体に触れる。 拒否反応と懐かしさで吐き気がした。 「や、めろ。俺に触るな―…っ」 情けなく声が震える。松陽とうり二つの男は笑みを深くした。 容赦なく、高杉の身体に男の手が触れる。 身体が熱を持ち、高杉は身を捩らせた。 「アッ アァッ や、めっ!」 朧の時には漏れなかった艶っぽい喘ぎ声が漏れる。 懐かしい師の手に触れられて悦ぶ身体とは裏腹に、 心はバラバラに砕けそうだった。 忘れていた絶望に苛まれながら、熱い肉棒に身を貫かれて 高杉は声を放ちながら吐精した。 地球を抜け、宇宙を船が進む。 暗い外を眺めながら銀時は拳を強く握り締めた。 高杉はたぶんまだ生きている。勘だが、それは確信に近い。 だが、朧に捕えられているならばウカウカもしてられないだろう。 捕えられ、何をされているのか想像すると心臓が凍えた。 身体を痛めつけられていないだろうか。 朧に性欲があると思えないが、まさか、犯されてなどいないだろうか。 想像すると、腸が煮えくりかえった。 今の高杉は多分、男と寝るのに慣れているだろう。 それでも、昔は恋人だった奴が他の男に抱かれている所を想像するのは愉快じゃない。 別れているのに勝手だが、自分以外が高杉に触れるのは許せない。 「金時、着いたぜよ。あの船だ」 港に停泊している船を辰馬が指を刺す。 「ありがとな」呟くように言うと、銀時は辰馬に背を向けて手を上げた。 行ってくる。銀時の背中がそう告げていた。 天導衆の男を一人昏倒して服を奪って艦内に侵入する。 気配を殺し、無を纏って中に入る。 辰馬が入手した情報を頼りに逸る気持ちを押さえて無機質な廊下を歩いた。 幸い、朧に遭遇することなく高杉が囚われている地下に辿り着く。 見張りを倒し、足音を忍ばせて奥まで進むと声が聞こえてきた。 啜り泣く様な声。獣の呻き。 俄かに心臓が煩く響く。まさか―…。嫌な予感が脳裏を過って銀時は走った。 「た、か……すぎっ」 嫌な予感は的中した。四肢を広げられた状態で拘束された高杉が 男に後ろから貫かれていた。 高杉の頬は涙に濡れていて、顔にいつもの覇気はなかった。 高杉を背後から犯している男は、虚。松陽の顔と身体を持つ男だ。 「テメェッ!高杉から離れやがれぇぇっ!」 咆哮を上げると銀時は虚に飛び掛かっていく。 虚は高杉から自分の雄を引き抜くと、銀時の木刀を避けた。 「おや、銀時。こんな所までくるとは。何の用だい?」 「気安く俺の名前読んでんじゃねーよ!」 「冷たい事を言うものではない。私は君の師なのだから。ねえ、晋助」 嗤いながら虚が高杉の顎を掴み顔を寄せる。 高杉の唇が震えて、ぽつりと「松陽せんせい」と呟いた。 弱々しい、光を失った瞳。まるで抜けがらになってしまった高杉の姿に、 銀時はズキリと胸が痛むのを感じた。 「薄汚ねぇ手で高杉に触るなっ!」 銀時の拳が虚の右頬にヒットした。虚は僅かだが後ろによろける。 その隙に銀時は高杉を縛る鎖を木刀で払い除けた。 力を失った高杉の身体が腕の中に崩れ落ちてくる。 受け止めた身体は、攘夷時代の頃ぐらい華奢で軽くなっていた。 ぎゅっと高杉を抱締めると、銀時は唇を奪う。 舌を吸い上げ、唾液を絡めて深く高杉を味わって唇を離した。 「あっ……ぅ、ぎ、ん……」 虚ろだった高杉の瞳がぼんやりと銀時を捕えた。 戸惑うように瞳を揺らす高杉の頬を、銀時は軽く叩く。 「ぼーっとしてんじゃねぇよ高杉っ!あれが松陽に見えんのかよっ!」 銀時が指差す先に高杉は剣呑に首を向けた。 視界の先ではかつての師の姿に酷似した男が不気味な笑みを浮かべていた。 違う、あんな歪な顔をした男は知らない。高杉は心の中で呟いた。 再び銀時に向けられた瞳には、強い光が宿っていた。 「あれは先生じゃねぇ。あのヒトの手は、もっと温かくて優しい手だ」 高杉の言葉に、銀時はホッと胸を撫で下ろす。 自力で立ち上がることの出来ない高杉を抱き上げると、銀時は走り出した。 「逃がさないよ。晋助、銀時」 虚が後を追って走って来る。全速力を出さず、いたぶる様に態とじりじりと 距離を詰めてくる虚に、銀時はチッと舌打ちを漏らした。 いずれは追い付かれる。銀時はぎりっと唇を噛んだ。 「こんな所に何しにきやがった?銀時」 「あぁっ?今、そんな事話してる余裕ねーよっ!察しろ!」 「わかってる。だからこそ、理由を聞きたいんだ。答えろ、銀時」 「……テメーにとどめ刺しに来た。そんだけだっ!」 乱暴に吐き捨てる銀時に、高杉はクツクツと笑い声を上げる。 高杉が銀時の腰にある洞爺湖に手を伸ばす。 「殺れよ。そんで、俺を置いておけば或いはお前だけでも逃げれる」 顔を上げた高杉の目は真剣そのものだった。 驚いた顔で銀時は高杉を見ていたが、盛大に溜息を付くと 高杉の小さい鼻をきゅっと摘まんで言った。 「バカヤロウッ!弱ったテメーを倒したって意味ねぇ。 もう一回、きっちり決着つけるまで死なさねぇよ。それにバカと約束した。 テメーの友達を必ず連れ帰るってな。ここまで送って貰ったし、約束守らねーとな」 「馬鹿……、もしかして、辰馬、か?」 「ああ、あのモジャ馬鹿だよ。だから、連れてく。 それにな、俺だってお前に死なれる前にあと一発ヤッておきてーしな」 ぶっきらぼうに吐き捨てる銀時に、高杉は面喰った顔をする。 それからぷっと吹き出して、銀時の唇にキスをした。 「バーカ。生きて帰ってもヤらせてやんねーよ」 「ふざけんな。こんだけ大仕事させたんだ。身体で報酬払ってもらうかんな」 「ククッ、そうかい。じゃあ、ここからにげねぇとな」 高杉は銀時の瞳をじっと見る。そのあと、壁にあるスイッチを見た。 その一連の仕草で高杉の意図をくみ取った銀時が小さく頷く。 高杉も頷き返すと、銀時の腰から洞爺湖を抜き取って、 背後から追いかけてくる虚を睨んだ。 そのまま虚に向かって洞爺湖を振りかぶる。標的は完全に虚だった。 だが、高杉の投げた洞爺湖は虚ではなくて壁のスイッチに刺さった。 銀時の目の前の隔壁が降りてくる。 「うおぁぁぁっ!」 銀時は雄たけびを上げると、閉まる寸前の隔壁を高杉を抱いたまま スライディングで抜けた。虚の目の前で分厚い隔壁が閉鎖される。 そのまま二人は後ろを振り返ることなく、戦艦を後にした。 辰馬の戦艦に逃げ込み、停泊していた港を後にした。幸い追手は無い。 辰馬が用意してくれた部屋のベッドに倒れ込み、銀時は息を吐いた。 「てめぇに助けられるたぁ、俺も堕ちたもんだ」 「何だよ、それ。可愛くねーやつ」 「ふん。昔からだ。だがまあ、今回は助けられた事だし礼しねぇとなぁ」 ニヤニヤ笑いながら、高杉は銀時の股間に顔を近付けた。 ファスナーを降ろすと、中から銀時の雄を取り出してベロリと舐める。 リップ音をさせながら竿に唇を付けると、舌で裏筋を舐め上げた。 「うっ……マジかよ、すげーサービスじゃねぇか」 「んっ、むっ」 小さい口いっぱいに銀時の肉棒を頬張り、高杉が舌を絡める。 珍しく可愛い高杉に銀時はドキドキした。 巧みな舌遣いに追い上げられて、すぐに射精感に襲われる。 呻き声を上げると、銀時は高杉の口の中に精液を放った。 「グッ、ゴホッゴホッ!苦ぇ。出す時は言えよバカ銀」 「いいだろ。全部飲み干すくらいのサービスしろよ」 「不味いんだよ」 文句を言いながらも、喉を鳴らして高杉は銀時の精液を飲み干した。 高杉の頬についた精液を指に絡め取ると、高杉の尻に指を吐きいれた。 「んっ、あっ。やめ、ろ」 「嫌だ。慣らさねーと挿れられねぇだろーが」 ぐりぐりと中のカベを抉る様に銀時が指を動かすと、 高杉は背中を仰け反らせて喘ぎ声を上げた。 「ふっ、うっ も、いいからさっさとぶっ込めよ」 「いいのかよ?つーか、そんな可愛い事言うとか、嬉しいんですけど」 「自惚れんな。さんざん汚ねぇ男のモノ咥え込まされたから、 消毒したいだけだ。別にてめぇに抱かれたいんじゃねぇからな」 「何それ。ったく、素直じゃねぇな」 銀時は高杉の足を左右に割開かせると、腰を落とした。 高杉の中に己を埋め込むと、肉襞が絡み付いて来てキュッと中が締まった。 「うっ、く。すげぇ締まり。すげーイイぜ」 「んっ。はぁ。ぎん、とき」 「急かさなくってもちゃんと動くぜ」 「ああっ」 熱くて固い銀時の雄に中を抉られると、快感で頭が飛びそうになった。 高杉は銀時の首に腕を絡めて、自らも腰を振った。 銀時ももっと奥まで深く高杉と繋がろうとナカに押し進んだ。 「く、高杉っ」 「銀時っ、アァッ」 互いの名前を呼び合いながら、銀時と高杉は深く交わった。 性行為を終えると、二人でベッドに沈みこむ。 銀時は高杉の身体を抱き寄せ、身体のあちこちに唇を落とした。 「くすぐってーよ、銀時」 「いいだろー。俺のモンだって印つけてんだよ」 「ふん、てめぇのもんになった覚えはねーよ」 「自己満足なんだよ。好きにさせてくれよ」 銀時に抱すくめられて、ふわふわの癖毛が素肌に触れた。 クスクスと笑う高杉に、銀時がしどろもどろに尋ねる。 「高杉、その、さ。捕まっている間に何されてたんだ?」 「何って、聞くかよ普通。ナニだろうが」 「う…あ、まあ。そうだよな。悪ぃ、気分悪いよな」 「別に。今更この身を漁られようがどうとも思わねぇよ」 「……それはそれでムカくんですけど。あと、さ。あの男にも そういう目に遭わされたよな。あの、髪の長い仮面の男。あいつは……」 松陽に似ていた男の話題を口にしていいかどうか銀時は迷っているようだった。 それを察した高杉は、銀時が言わんとしていることに気付いて笑った。 「……あれは松陽先生なんかじゃねぇよ」 「へ?」 「姿形なんぞ意味なんて持たない。大事なのは中味だ」 「そうだな。悪ぃ、妙なこと聞いて忘れろ」 「ああ。今しばらく休養が必要そうだ。大人しくしておいてやるよ」 「ん、そうしろよ」 珍しく仔猫のように甘えていた高杉に銀時は頬を緩める。 決戦の時は迫っているが、今しばらくだけは束の間の休息を貪ろう。 銀時と高杉は互いの体温を感じながら、柔らかな夢の中に沈んでいった。 --あとがき---------- AS様、リクエストありがとうございましたvv 囚われの高杉を助けに行く銀さん。素敵なシチュありがとうございます♪ 本編の流れを汲みつつの展開にしてみましたが、満足して頂けたら嬉しいです。 好みの問題で辰馬にもちょっと出演してもらいました。 姫ポジな高杉、個人的にすごく萌えます。 虚を見た時の高杉ってどんなリアクションをとるかなとずっと考えてましたが、 多分、銀さんの言う通り「あれは松陽先生じゃない」と言う気がします。 でも、「松陽先生ーっ!!」と虚に抱きつきに行く高杉も、 ちょっと想像できてしまいます(笑)そんなお馬鹿な高杉も可愛いです。 実際、そんな展開になったらちょっと衝撃的ですね。 頂いたリクエストをちゃんと消化切れているか心配ですが、 楽しんで頂ければ幸いです。 |